天国の「お父さん、聴こえますか」  

今日は雪の予報が出ていますが、冷たい雨が降っています。

2月も半ば、もうそこまで春は来ているのでしょうか。

 冬の食べ物に少し飽きてきた今日この頃。(笑)  

数々のステージで沢山の曲を弾いています、どの曲にも色々な思い出がありますが、ショパンの「英雄ポロネーズ」を弾く時には特別な思いを感じています。

 

そうそう、初めてこの曲を弾いてるのを見たのは、私が小学校5年生の発表会で、 M先生が模範演奏で弾いてくれたのは良い思い出。

 

それから数年、私は高校2年生になりショパンも何曲も弾くまでに。

その頃、大学を目指すために師事していたH先生に「次の発表会で英雄ポロネーズが弾きたい」と話すと、H先生は、「今のあなたなら大丈夫よ」と太鼓判。

その時の私には「英雄ポロネーズ」はただ憧れの曲というだけでなく、小学校の時に師事していたM先生のお父さんとの思い出にもつながっています。

 

時は、小学5年生の頃、M先生の教室にもどりますが。

M先生のお父さんは、私が入門したての小さな頃から、大変可愛がってくれて、レッスンをしているとレッスン室までやって来ては演奏を聴いてくれたり、いつも私を褒めてくれたりと成長を喜んでくれました。

 

あるとき私に「なっちゃんの英雄ポロネーズを聴きたいな」と、今思えば、いつになく真顔でリクエストしてくれました。

何も知らない私は「うん、しっかり弾けるように練習をいっぱいいっぱいするよ!」と約束をしました。

 

実は、その頃からM先生のお父さんは、筋肉が固くなり徐々に体が動かなくなるという難病にかかっていて、だんだんレッスン室に来るに回数も減り、私も、さらなる上を目指して、教室を変わったことなどもあり、演奏を聴いてもらう機会がなくなりました。

 

色々ありましたが、私は、そのお父さんに喜んでもらいたい!約束を守りたいと、一途に練習に励みました。

そして、ほかの教室へレッスンに行っていても、慣れ親しんだM先生の教室へは事あるごとに出入りしていました。

 

「英雄ポロネーズ」がしっかりと弾けるようになった頃は、もうM先生のお父さんは、自宅のベッドから起き上がることもできないほどまで病状が進んでいた為、もちろん発表会の会場には聴きに来られません。

 

約束どおりに、ぜひ「英雄ポロネーズ」を聴いてもらいたい。

「そうだ!私がM先生のレッスン室で演奏をすればお父さんに聴いてもらう事が出来る」発表会の後、演奏をしようと思い立ちました。

 

・・・ところが発表会の前日、お父さんは亡くなってしまったのです。

 

なんでもっと早く演奏しに訪ねなかったのかと・・・約束ををまもれなかったのか・・・しっかり弾けてる「英雄ポロネーズ」聴かせられなかったのか。今でもあの時の後悔の気持ちは忘れられません。

 

私の中の大切な1曲。

一番ステージで演奏している曲。

そして、今では私の十八番。

いつもこの曲をステージで弾く時には「お父さん」を思い出して演奏しています。

 

天国の「お父さん、聴こえてますか」「私の「英雄ポロネーズ」がお父さんのとこまで届いてますか・・・」

「今は、こんなに立派になれましたよ」

 

そして、いつも必ずひとすじの涙が頬を零れ落ちています・・・。